2024.05.10
商標
会社名の商標登録はしたほうがいいの?
「会社名って商標登録したほうがいいの?」
「登記してあるし問題ないんじゃないの?」
会社名の商標登録について、疑問をもっている方は意外といると思います。
いきなり結論から言うと、ほとんどの方は会社名を商標登録したほうがよいです!
この記事では、なぜ会社名を商標登録するべきなのか、4つのケースに分けて解説します。
特に起業したばかりの方や事業拡大を考えている方は参考にしてください。
目次
会社名を商標登録したほうがよい場合とは?
ケース① 会社名を商品名やサービス名としても使用したい
会社名が単に会社名としてだけ使われるのではなく、商品名やサービス名としても使われるケースがあります。
例えば、料理レシピの検索でよく利用される「クックパッド(cookpad)」のサービスは、「クックパッド株式会社」により提供されています。
すなわち、「クックパッド」という名称は会社名であるとともにサービス名でもあり、ブランドとして展開され、一般の人々に露出していることになります。
このようなケースにあてはまるときは、会社名を商標登録するべきです。
ケース② 会社名をブランド名として認識させたい
商品名やサービス名だけでなく、会社名自体もブランド名として一般の人々に認識されているケースもあります。
例えば、日産自動車株式会社は「日産自動車株式会社」という正式な会社名だけでなく、「日産」や「NISSAN」という略称もブランド名として使っています。
また、日産の商品名(車種)としては、「リーフ」「ノート」「セレナ」などがありますが、これらの名称もブランド名です。
すると、消費者は車を買うときに、「リーフにしようかな?」というブランド選択もしますし、「日産(の車)にしようかな?」というブランド選択もします。
すなわち、「日産」という名称は単なる会社名としてだけではなく、ブランド名として商品やサービスを連想させる働きをしています。
このように、会社名も前面に押し出したいときも、会社名を商標登録するべきです。
ケース③ 会社名と似た名称を競業他社に使用されたくない
会社名は同一の住所でなければ同じ名称で登記できます。そのため、会社名が自分のものと同じであるという理由で他社の会社名を変更させることはとても困難です。
また、自社のビジネスが軌道に乗って、会社名が多くの人々の目につくようになると、それに便乗しようとする他社により、会社名を模倣されることがあります。
その結果、他社に顧客を奪われることもありえますし、また自社と同じ会社名で低品質な商品が販売されてしまうと、それがたとえ他社の商品であっても、せっかく積み上げてきた自社の信頼が損なわれることにもなりかねません。
そんなときに対応策となるのが商標登録です。会社名の商標登録をしておけば、他社は会社名の使用について制限を受けることになります(ケース④の項目参照)。
ケース④ 会社名の略称を使用したい
登記をしていても、会社名は自由に使えるわけではありません。
上記のケース①~③とも関連しますが、会社名の略称を使っていきたいというケースがあります。
例えば、「株式会社MSウィード」という会社名があったとしたら、「MSウィード」の部分が略称です。
自社HPや広告物などにおいては、いちいち「株式会社」をつけるのではなく、「MSウィード」のように省略した名称を使うことも多いと思います。しかしこの場合、「MSウィード」は正式な会社名ではありません。
商標法(26条)には、「自己の名称を普通に用いられる方法で表示する場合には他人からの権利行使を受けない」という規定があるのですが、「自己の名称」とはここでいう「株式会社MSウィード」という正式な会社名のことであり、略称である「MSウィード」は「自己の名称」にはあたりません。
そのため、自社としては会社名そのものとして使っているつもりでも、知らないうちに他人の商標権を侵害してしまっている可能性もあります。
その結果、万が一トラブルに発展して会社名を変更しなければならないような事態になったら、とても大きなダメージを負うことになってしまいます。
おわりに
会社名も、ブランド名として使っていきたいなら立派な「商標」です!
商品名やサービス名の商標登録はしっかりやっているのに、会社名の商標登録については見落としてしまっている、という方が結構いるので注意してください。
会社名についても適切に商標登録を行い、自社の大切なブランドを守りましょう。