2024.01.29
特許
特許を取得しないリスクについて
中小企業の経営者の方から、特許出願を以前したが特許取得が結局できず費用が無駄だったとか、特許取得できたが営業効果も薄くメリットを実感できないなどの話を聞きます。
確かに、知的財産は費用対効果を実感しにくいところですが、ビジネスを行う上では、特許出願・特許取得をすべきと基本的に考えます。
そこで、特許出願・特許取得すべきかについて、いろいろな観点を説明しつつ、最終的な判断基準の一例を紹介したいと思います。
なお、説明をできる限りわかりやすくするため、例外的な難しい内容の説明は省略しております。
先ず、第1回として、特許取得しないことの様々なリスクを挙げたいと思います。
他人による同一技術の実施を排除できない
製品の外観や内部構造が確認できる場合には、他人がその製品に関連する技術を把握できる場合があります。
この場合に、特許取得ができていないと、他人がその技術をまねて同じ製品を製造・販売しても、その行為を止めることができません。
売上減少
上記1に付随することになりますが、他人による製品が市場に出回ってしまうと、同じような製品が混在することになります。
この場合に、製品の特長でもある技術が似ていると、技術内容としての差別化も困難となり、
製品販売を行う際に技術的な優位性をアピールすることができなくなってしまいます。
このような市場の製品混在、アピールができない状況では、自社製品の売上が減少する可能性が生じてしまいます。
他人に市場を奪われる可能性
他人がその製品に関連する技術を把握した場合、他人によるその技術自体の特許取得は製品の市場流通によってできません。
しかしながら、他人がその技術を改良し、改良技術を特許取得できる場合があります。
仮に、他人が改良技術の特許を取得してしまうと、ベース技術は自分のものであっても、改良技術を勝手に取り入れることはできなくなります。
この場合、他人による改良技術のアピールや製品特性が向上していると、他人に市場を奪われる可能性が生じてしまいます。
なお、ベース技術の特許取得ができていれば、他人の改良技術への対抗する余地がありますが、複雑な話なのでここでは省略します。
ビジネスの再考又は撤退
上記2の状況では現行ビジネスを継続することが困難となり、ビジネス自体の再考を検討する必要がでてきます。
この場合では、既存製品の販売をあきらめ、新製品によるビジネス展開が重要となり、開発費用等がかかることになります。
また、上記3の状況では、他人の改良技術が足かせとなり、新たな製品開発やビジネス展開が難しくなります。
このため開発費用を回収できるようなビジネス展開ができなければ、ビジネス自体の撤退も検討する必要がでてきます。
以上のように、特許取得せずにビジネス展開をしてしまうと、ビジネスの撤退に追い込まれる可能性があることを覚えて頂けると幸いです。
第2回は、特許取得した場合のメリット(効果)について説明したいと思います。